Catalyst Browseを使った手ブレ補正の実験

「一眼カメラで歩行動画を撮りたいのに、3軸ジンバルを持ってくるの忘れちゃった!」
みたいなこと、皆さんありますよね?

僕はないですけど。カメラバッグを軽量化するために3軸ジンバルの省略を検討しています。
数分〜数十分の歩行動画を撮る時は3軸ジンバルを使いますが、数十秒だけのちょっとした歩行なら手持ち+手ブレ補正で行けるのでは… ということで手ブレ補正の研究です。
「電子手ブレ補正」や「動画編集ソフトの手ブレ補正」に頼ると代償として画質が劣化してしまうのですが、荷物の軽量化のためなら少しは妥協してもいいのではないだろうか。

案1:α1カメラのアクティブ手ブレ補正

電子手ブレ補正を併用するので画角が狭くなってしまいます。
補正能力も弱く、歩行ブレに対してあまりに無力なので却下。
8K撮れんし。

案2:動画編集ソフトの手ブレ補正

今どきどんな動画編集ソフトにも手ブレ補正機能がついていますが、実はあれ致命的な欠点があります。
パースを無視してるんです。
一般的な手ブレ補正は「クロップしてフレーミングで安定化させるだけ」なんですが、本来は画角に応じてパースも変形させないといけないんです。
広角の場合は特に顕著なんですが、カメラがブレてあっちこっち向いてしまった場合はパースが変化するのでそれも考慮しないといけないんですね。
動画編集ソフト側は「撮影時の焦点距離が何ミリだったか」なんて知りようもないので、画角を考慮した補正は不可能です。

一般的な動画編集ソフトの手ブレ補正。パースがムニュムニュしててきもちわるい

動画ファイルに焦点距離情報でも埋め込んであれば参照できるんでしょうけど。
いや、まさか。
埋め込んであるのか!?

案3:Catalyst Browseによる手ブレ補正

動画に焦点距離情報が埋め込んであるんです。少なくとも一部のSONY機は。

存在がほとんど知られてない気がするんですが、Catalyst BrowseというSONY純正の動画処理アプリケーションがあります。
SONY製カメラは動画ファイルの中に

  • 加速度センサーで取得したブレ情報
  • 焦点距離つまり画角情報

を埋め込んでいて、Catalyst Browseはそれを活かして処理をしてくれます。多分。
「多分」というのは、Catalyst Browseの説明には「加速度センサー情報を利用したブレ補正」の方しか書いてないので、「画角情報の利用」に関しては僕の推測になります。

Catalyst Browseで撮影した動画ファイルを読み込んでみたところ
たしかに”Lens zoom actual focal length”(焦点距離)が表示されている
撮影中にズームをいじった場合はどうなるん… そこまで考えるのはやめておこう

こっちはカメラ内の加速度センサーで取得したブレ情報のグラフ

左が補正前、右がCatalyst Browseブラウズを利用した手ブレ補正
ムニュムニュしてない!

微妙な問題1:4Kまでしか書き出ししかできません。有償版のCatalyst Prepareも試してみたんですがこっちでも8K出力できませんでした。
しかたがないのでDaVinci Resolveに読み込んだ後Super Scaleの2x強化でアップスケール。
ネイティブな8K動画と比べるとちょっと眠いですが違和感はわずか。

微妙な問題2:シャッタースピードの遅さによる「ズビッ」ってなっちゃっている方の「手ブレ」
(動画の手ブレと紛らわしいからなんか呼び分ける用語を考えようぜ)
これは無理です。補正できません。
手持ちで撮るときに気をつけるしかないね。